大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)4865号 判決

横領罪の成立に、不法領得の意思の存在を必要とすることは、所論のとおりであるが、横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人の物の占有者が、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思をいうのであつて、必ずしも、占有者が自己の利益取得を意図することを必要とするものではなく、又占有者において、不法に処分したものを後日に補填する意思が行為当時にあつたからとて、横領罪の成立を妨げるものでもないと解すべきところ、原判決の挙示する証拠によれば、被告人は、原判決認定のように、いずれも納税者より税金の納付方依頼を受けて受け取つた小切手又は現金を、その委託の任務に背いて、勝手に、これを着服したものであることが認められるのであるから、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をした場合にあたるものというべく、従つてその着服当時において、たとえ一時の融通にあてるためであり、後日これを補填する考であつたとしても、横領罪の成立に必要な不法領得の意思があつたものと認めるのが相当である。又本件の納税者が、被告人に対し、判示の委託をするにあたり、税金額の確定前に、納入期日も定めずに、一応の概算として、判示金員を交付した場合のあることは、所論指摘のとおりであるが、それだからといつてそれが直ちに、被告人に対し右の金員を納税以外の用途に費消することを暗黙裡に承認したものとは推定し難いばかりでなく、記録を精査してみても、所論のような暗黙裡に承認したとの事実を確認することはできない。

二、(省略)

三、(省略)

これを要するに、原判決の判示事実は各所論の点をも含めて、すべてその挙示する証拠によつて、これを肯認することができ、なお記録を精査検討してみても、原判決に、所論のような判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認があることは認められないから、論旨は理由がない。

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